脳腫瘍について
脳腫瘍は、頭蓋骨の内部にできる組織の増殖による腫瘍です。この腫瘍は原発性と転移性の2つに分類されます。脳内で発生した腫瘍は「原発性脳腫瘍」と呼ばれ、他の部位から脳に転移してきたものは「転移性脳腫瘍」とされます。
原発性脳腫瘍は良性と悪性に分類されます。
良性腫瘍は通常、手術した後の経過も良好である傾向にあります。
一方、悪性脳腫瘍は通常のがんと同じく、上皮細胞から発生した悪性の腫瘍です。がんは一般的に上皮組織から発生するものを指しますが、脳は外部環境と隔てられた組織であるため、脳内の腫瘍は通常、がんとは呼ばれません。
症状
主な症状
①長引く頭痛
(慢性頭痛)
脳圧が高まることで頭痛が生じます。脳腫瘍が進むにつれ高い頻度で発生し、初期段階から痛みが現れることもあります。最も痛いのが朝起床した時で、その後時間経過とともに痛みが軽快していく傾向があります。
②吐き気、嘔吐
頭痛とともに発生したり、原因が分からなかったりする場合もあります。嘔吐は脳腫瘍により脳内の圧力が高まることが原因のため、胃腸の不調とは異なります。ほとんどの場合、嘔吐すれば、いつも通り食べられるようになります。
③神経系異常
脳腫瘍が大きくなり、神経が圧迫されることで発生します。手足の痺れ、視覚の異常、記憶力低下といった症状が生じます。
現れやすい症状
- 頭痛
- 視覚異常
- 吐き気、嘔吐
- 眼底の腫れ、むくみ、充血
(うっ血乳頭) - 意識障害
- 痙攣(てんかん)
- 不整脈(クッシング現象)、
血圧上昇
局所症状
- 記憶力低下
- 顔面神経麻痺
- 片麻痺
- 視力、視野障害
- 感覚障害
- 自分の名前や年齢が分からなくなる(見当識障害)
- 覚えが悪くなる、ものや顔が見分けられなくなる
(失行、失認) - 性機能低下、尿量増加
(内分泌障害) - 言葉が出てこなくなる
(運動性失語) - 視界が半分見えなくなる
(同名性半盲) - 食事がうまくできなくなる
(嚥下障害) - 眼球痙攣(眼振)
- うまく発音できない(構音障害)
- ものが重なって見える(複視)
- 手足がうまく動かない
(協調運動障害)
原因
脳腫瘍は脳細胞の遺伝子変異が原因と考えられていますが、明確な原因が分かっていないのが現状です。
さらに、喫煙や過度な食事・飲酒なども要因の可能性が指摘されていますが、具体的な関連性は明確に解明されていません。
検査
脳腫瘍は、MRI検査で詳しく調べるのが望ましいとされます。CT検査は、微細な病変を見つけ出すことに向いていません。しかし、MRI検査であれば、脳腫瘍の大きさも適切に確認しやすいメリットもあります。
検査で脳腫瘍であることはある程度確定できますが、100種類以上ある脳腫瘍のどのタイプであるかの確定診断には手術による組織診断が必要となり、その結果により治療方針が決まります。また、脳腫瘍の部位・年齢・既往歴などにより画像診断のみで治療に入ることもあります。
治療
良性の脳腫瘍は、症状があれば手術による全摘出を目指し、全摘出できれば完治となります。その後も一定期間は定期検査が必要です。悪性の脳腫瘍は手術による治療を行い、放射線治療や化学治療を補助療法としておこないます。
近年、定位放射線治療により、より局所に限定して放射線を照射することができ、腫瘍の種類や発生した部位によっては手術を行わずに放射線治療を行うことがあります。症状がない脳腫瘍は、手術を行わずに経過を見ていくケースもあります。
院長の小菊は脳腫瘍治療の経験も豊富で、セカンドピニオンを含め、他院で手術を受けられた後のフォローアップにも対応いたします。