生活習慣病とは
生活習慣病とは、日々の生活習慣(食事、お酒、タバコ、運動、睡眠など)が病気の発症や進行に深く関係する疾患の総称です。生活習慣病は、高血圧、糖尿病、脂質異常症、心臓病、脳卒中といった健康に大きく影響のある疾患が多いため、適切な治療を行うことが重要です。
特に、高血圧、糖尿病、脂質異常症などは、脳卒中や動脈硬化の主な原因です。脳卒中は日本人の死因の上位にあり、寝たきりの要因の第一位を占めています。「血管から老化する」という言葉がありますが、健康で長い人生を送るため、そして貴重な脳を守るためにも、脳の血管が損傷する前に生活習慣を見直すことが大切です。
高血圧
高血圧を
発症する人の
特徴
高血圧は、病院の診察室で計測した血圧が収縮期血圧140mmHg以上、もしくは拡張期血圧90mmHg以上のどちらか、または両方に当てはまる状態を指します。家庭で血圧を測定した場合、上の収縮期血圧が135mmHg以上で、下の拡張期血圧が85mmHg以上で高血圧と診断されます。
日本人では、原因が明確ではない高血圧「本態性高血圧」の方が多く、肥満や過剰な塩分摂取、遺伝や体質などの要因が組み合わされて発症します。
一方、高血圧の原因が判明しているのが「二次性高血圧」です。主な原因としては、腎臓の機能低下によって塩分や水分の排泄が妨げられる場合や、副腎などの内分泌腺の異常によって血圧を上昇させるホルモンが過剰に分泌される場合、さらには血管に疾患がある場合などが挙げられます。
どのくらいまで
血圧を下げるとよい?
高血圧の治療は、脳卒中や心筋梗塞、腎機能低下など重篤な疾患の進行抑制や予防するために行います。そのため、一般的には75歳未満の方は病院での血圧が130/80mmHg未満、75歳以上の方は140/90mmHg未満を目標として血圧をコントロールします。
(他の持病などがある場合は基準値が異なる可能性があります。)
薬に頼らずに血圧を
下げる方法はありますか?
毎日の食塩摂取量を6g未満に減らす減塩、肥満の予防や改善、適度な飲酒制限などに加えて、運動習慣を取り入れることや食事のパターンを見直すことが効果的です。また、禁煙もおすすめです。その他にも、体の冷え対策やストレスのコントロールも効果があるとされています。
脂質異常症
脂質異常症とは、悪玉(LDL)コレステロールが140mg/dL以上、善玉(HDL)コレステロールが40mg/dL未満、中性脂肪が150mg/dL以上の状態を指します。
脂質の異常が
起きやすい人
脂質異常症は、血液中の脂肪分が異常に増加している状態を指します。主に、過度な食事や飲酒、不十分な運動、肥満によるストレスなど、健康に良くない食習慣や生活態度が原因で脂質異常症が引き起こされます。また、遺伝的要素や更年期(女性)でホルモンが変化し、血液の中の脂肪が増加するために脂質異常症を発症することもあります。
また、内分泌系の疾患などが原因で血清脂質値が高くなる二次性脂質異常症も存在します。
脂質の増加は
動脈硬化の進行を
早め、脳卒中や心臓病のリスクを高める
脂質異常症では、血液の中の脂肪が増加し、血管壁に余分な脂肪が蓄積します。この過程で、コレステロールなどが異常に蓄積しやすく変化し、プラークと呼ばれる固まりが形成されます。プラークは血管内壁の滑らかさを損ない、血液の凝固を促進したり、炎症を引き起こしたりすることで、動脈硬化が進行します。また、血管壁のプラークが突然破裂したり、血液が塊状に凝集したりすると、血管内が完全に詰まってしまうことがあります。心臓の血管でこの状態が生じると、心筋梗塞や不安定狭心症の発作を引き起こし、脳や頚部の血管で起こると脳梗塞や一過性脳虚血発作を誘発します。
脂質異常症の中でも
注意が必要な人
- 糖尿病と診断された方
- 肥満の方
- 高血圧と指摘された方
- タバコを吸う方
- 心筋梗塞といった血管の疾患を発症した経験がある方
- ご家族に動脈硬化に関わる病気にかかっている人がいる方
脂質異常症で上記に該当する人は、特に注意が必要です。
余分な脂肪を
溜めないよう
コントロールすること
が大切!
脂質異常症を予防するため、生活習慣の見直しや運動する習慣を身に付けましょう。血液中の脂肪分を減少させるお薬もありますので、医師の指示に従いながら正しく服用することが大切です。余計な脂肪の蓄積を防ぎ、動脈硬化による疾患を発症させないようにすることが重要です。
糖尿病
糖尿病に
かかりやすい人の特徴
糖尿病とは、インスリンの機能が低下して、高血糖の状態が継続する病気です。生活習慣病の一つで、遺伝的要素に運動不足、食生活の乱れ、肥満などが加わって引き起こされます。
糖尿病の悪化で
起こること
高血糖が継続することで、様々な臓器に弊害が発生します。糖尿病の三大合併症と言われる「糖尿病性神経障害」、「糖尿病性腎症」、「糖尿病性網膜症」を発症すると、腎臓や網膜(眼)、末梢神経などの細い血管が傷つけられます。また、太い血管の動脈硬化が進行すると、脳梗塞や心筋梗塞、足の血流が悪くなる閉塞性動脈硬化症といった病気を引き起こすリスクが高まります。
正しい生活習慣を
身に付けましょう!
食生活では、暴飲暴食を控えて体重の増えすぎを防ぐことが大切です。また、脂身が多い肉類、鶏卵、動物脂、果糖が多い食品の過剰摂取は控え、大豆製品、青魚、玄米、海藻類、野菜を積極的に食べるようにしましょう。糖質が少ない果物を適切に食べて、お酒を飲み過ぎないようにコントロールする必要もあります。また、運動する習慣を身に付け、運動不足の解消を目指すのも重要です。なお、運動に制限が必要な場合もあるため、医師の指示に従いながら正しい方法で行うことをお勧めいたします。